飛蚊症について
飛蚊症は実際には存在しない黒い虫や糸くずなどの浮遊物が見える状態です。浮遊物は、輪っか状、糸状、小さな粒状など様々な形状をしており、色も黒色から半透明まで様々です。特に、屋外など明るい場所でよく見えるようになります。
早めに受診すべき飛蚊症
浮遊物の数が多くなっている場合、あるいはサイズが大きくなっている場合、飛蚊症の症状に伴って視界がぼやける・かすむなどの症状がある場合、網膜剥離や網膜裂孔が原因となっている場合があります。早めに当院までご相談ください。
飛蚊症の検査
眼底検査
飛蚊症は加齢が原因となることが多いですが、疾患によって起こることもあります。眼底検査は飛蚊症の原因を特定するのに有用です。眼底検査では、まず散瞳薬を使用して瞳孔を一時的に開き、網膜や硝子体に異常が発生していないか調べます。
検査が終わっても5~6時間ほどは散瞳薬の効果が残っているため、光が眩しく感じたり、ピントが合わなかったりすることがあります。そのため、ご自身でお車を運転しての来院はお控えください。
また、眼底検査のほか、眼圧検査や視力検査も実施します。
飛蚊症の原因となる眼科疾患
網膜剥離・網膜裂孔
網膜剥離や網膜裂孔が飛蚊症の原因となることがあります。
網膜剥離は加齢などが原因となり眼球内側の網膜が剥がれ、視力が低下する疾患です。網膜裂孔を伴う「裂孔原性網膜剥離」と「非裂孔原性網膜剥離」に大別されます。「裂孔原性網膜剥離」では、網膜にできた裂け目や孔から液化した硝子体が孔から入り込んで網膜が剥がれていきます。一方、「非裂孔原性網膜剥離」はさらに細分化され、糖尿病網膜症などが原因となる「牽引性網膜剥離」、炎症などが原因となる「滲出性網膜剥離」などがあります。
網膜剥離は重症化すると失明する恐れがあるため、早期発見・早期治療が欠かせません。
症状
網膜剥離の主な症状には、視力低下、視野欠損、飛蚊症、実際にはない光が見える光視症などが挙げられます。
原因
網膜剥離の主な原因には、加齢や体質、打撲などの外傷、強度近視などが挙げられます。
硝子体出血
硝子体出血とは、眼底や網膜表面などの血管(特に新生血管)が破れて出血を来し、硝子体腔内に血液が溜まった状態です。
原因や出血量によって治療法に違いがありますが、基本的には投薬あるいは網膜光凝固術(網膜レーザー)によって治療を行います。
症状
硝子体出血が発生した場合、視力低下や飛蚊症、視界のかすみなどの症状を示します。
原因
硝子体出血の原因疾患は多岐にわたりますが、裂孔原性網膜剥離や糖尿病網膜症、網膜細動脈瘤、網膜静脈閉塞症、後部硝子体剥離、加齢黄斑変性症、ぶどう膜炎、くも膜下出血、外傷などが原因となることが多いです。
なお、硝子体出血では出血により硝子体の奥を確認困難なため、手術前でも原因が分からないことがよくあります。
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎は虹彩・毛様体・脈絡膜から構成されるぶどう膜に炎症が発生する疾患です。ぶどう膜炎では、ぶどう膜に加え、網膜や強膜にまで炎症が及ぶ可能性があります。
ぶどう膜炎は種類が様々ありますが日本国内では「サルコイドーシス」「原田病」「ベーチェット病」が4割を占めており、これらを総称して「3大ぶどう膜炎」と呼んでいます。「サルコイドーシス」「ベーチェット病」については厚生労働省より特定疾患として認定を受けています。
これらの疾患と診断された場合は、各医療機関を一部公費負担にて受診することが可能です。詳しくは診察時にお尋ねください。
症状
ぶどう膜炎の症状は炎症の発生部位や程度により違いがありますが、主な症状としては視界のかすみや羞明感(光が眩しく感じる症状)が挙げられます。その他、目の充血や痛み、視界の歪み、飛蚊症などの症状も認められます。
また両目に発生することがあります。
原因
ぶどう膜炎は病原菌(ウイルス・細菌・寄生虫など)の感染、免疫異常などが原因となります。なお3~4割は原因がはっきりしません。
視界に黒い点が見える場合は当院までご相談ください
黒い影が見える、糸くずがみえるなど飛蚊症の症状は様々です。
飛蚊症はどなたでも起こり得ますが、網膜剥離や網膜裂孔、硝子体出血などの疾患・異常が原因となることもあります。疾患・異常が原因となる場合はすぐに治療が必要なため、飛蚊症の症状が出ている場合は一度当院までご相談ください。
網膜剥離は治療せずにいると視力が急激に低下し、最悪の場合は失明する恐れがあるため、早期発見・早期治療が欠かせません。