片目あるいは両目で物を見ると二重に見える
左右一方の目で物を見たとき対象物が二重に見える場合、乱視などの屈折異常、あるいは白内障が原因として疑われます。また両目で見たときに二重に見える場合は目を動かす筋肉や神経に異常がある可能性があります。なかには脳神経疾患や脳卒中など重篤な疾患が原因となっていることもあるので、早めの受診をお勧めします。CTやMRIなど頭蓋内精査が必要と考えられる場合には、検査可能な高度医療機関をご案内いたします。
片目で二重に見える場合に疑われる原因疾患
屈折異常(近視・遠視・乱視など)
目に入った外部の光は角膜と水晶体で屈折して網膜にピントを合わせます。近視・遠視・乱視などの屈折異常が発生している場合、網膜にピントを正しく合わせられなくなり対象物が二重あるいは三重に見えることがあります。この場合コンタクトレンズや眼鏡を装用することで改善できます。
老眼
老眼とは加齢に伴ってピント調節機能が上手く機能しなくなり、手元にピントを合わせるのが困難になる症状です。40歳を過ぎると老眼になる方が増えてきます。また老眼の方がスマホや読書など近い距離で小さな文字を長時間見ていると、ピントを合わせようとして目に大きな負担がかかり、頭痛や肩こりなど慢性的な不調が起こることがあります。老眼の方で目の疲れを覚えている場合、老眼鏡を作ることをお勧めします。
白内障
白内障は加齢などにより水晶体が変性して白く濁る疾患です。水晶体はカメラのレンズのような働きをしているため白内障になると、視界のぼやけ・かすみ、対象物が二重に見える、光が眩しく感じる、視力低下などの症状が起こります。症状は少しずつ悪化していき生活に支障を及ぼすようになるため、症状の程度によっては手術が必要となります。手術と聞くと心配になる方もいらっしゃいますが、日帰り手術を行えるようになっており、痛みもほとんど感じません。
眼精疲労
目の酷使などにより目が疲れることでピントを合わせられない、光が眩しく感じる、対象物が二重に見える、視界のかすみ・ぼやけ、目の痛みや疲れなどの症状が起こります。また悪化すると目の症状に伴って頭痛や肩こり、倦怠感などの全身症状も起こります。眼精疲労による症状は休息を十分に取っても解消しないことが特徴です。
治療では眼精疲労の原因を見つけ、それを除去することが必要です。原因が老眼や長時間のパソコンやスマートフォンの使用の場合、ビタミンを含む点眼薬を処方することがあります。
両目で二重に見える場合に疑われる原因疾患
斜視
斜視とは両目の視線が合わない状態です。眼を動かす筋肉のバランスが崩れることでおこり、内斜視、外斜視、など複数の種類に分けられます。先天性の場合もありますが、その場合物が二重に見えることはほとんどありません。物が二重に見える場合は、何らかの原因で筋肉の動きが悪くなっている場合が多いですが、中には外傷や脳の異常などでも症状が生じることがあります。CTやMRIなど頭蓋内精査が必要と考えられる場合には、検査可能な高度医療機関をご案内いたします。また糖尿病などの内科疾患が原因となることもあり、その場合は内科医と連携して診療にあたります。ビタミン剤の服用などで症状が緩和されることもありますが、物が二重に見える症状が現れた場合には、なるべく早めに眼科受診することが必要です。お気軽に当院までご相談ください。
甲状腺眼症
甲状腺に関係する自己抗体が作られ目の周囲の筋肉や脂肪などに炎症が発生した状態を、甲状腺眼症と言います。甲状腺眼症では物が二重に見える、まぶたの腫れ、眼球突出などの症状を示します。
甲状腺眼症は甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、あるいは甲状腺機能低下症(橋本病)の合併症として起こることがあり、目の症状から眼科にて検査を受け、甲状腺機能に異常が起こっていると発覚することもあります。喫煙は症状を悪化させるため禁煙が必要です。
急性内斜視(スマホ内斜視)、スマホを長時間見ていると二重に見えるようになることも
急にどちらか片方の眼が内側によってしまい、物が二重に見える急性内斜視が10-20台の方に増えています。原因ははっきりと解明はされていませんが、スマホやタブレットの長時間使用が一因と考えられています。スマホなどを近い距離で見ていると、人間は寄り目で見るようになります。寄り目は内直筋が縮んで眼球が内側に寄った状態です。寄り目の状態が続くと寄り目の状態が元に戻らなくなり、物が二重に見えるようになることもあります。治療では、原因となるスマホなどの使用をストップし、矯正する眼鏡を装用して頂きます。こうした治療を行っても症状が解消しない場合、手術を行うこともあります。
スマホはパソコンや読書よりも近距離で画面を見る傾向があります。そのため画面から30cm以上離れて見ることを心がけ、こまめに画面から目を離して遠くを見るようにしましょう。特に横になってスマホを触っていると目との距離が近くなってしまうので、横になりながらスマホを触らないようにしましょう。
二重に見える場合に行う検査
まずは、以下を確認します。
- 片目で物を見ると対象物が二重に見える症状は起こらないか
- 目の向きによって症状が強くならないか
- 1日の間で症状の程度が変化するか
- 高血圧や糖尿病などの疾患を患っていないか
上記のほか屈折異常や白内障を確認するための一般的な眼科検査、眼球運動の異常を確認する検査などを行います。